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世界の涯ての鼓動のmanamiのレビュー・感想・評価

世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)
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ヴィムヴェンダース作品鑑賞20作目。
地上から100km以上離れると、宇宙。国際宇宙ステーション(ISS)がいるのは、地上400kmあたり。らしい。
そんなことが頭をよぎる中ダニーが潜っていくのは、海中世界。自らの研究のため、探査艇に乗り込み闇へと沈んでいく。前述のように人類が宇宙へと飛び立っていくのは、地球の起源を探るためでもあるそうだが、その地球の中心に近付くことでも生命発生の謎に迫れるというのだから不思議だ。
ただ、もちろん危険と隣り合わせの探索であることも疑いようがない。もし「不測の事態」が起こっても、深海探査艇はヨーロッパに1隻しかないため、救援は望めない。つまり「考える時間が十分ある」状況で窒息するという話が印象的。それは恐ろしいよなぁ、想像しただけで胸がギュッとなるわ。
アリシアヴィキャンデル演じるダニー。誘い文句が「腰抜け(チキン)」で、かっこよくリードしていくのがとても様になっている。
そしてそのお相手ジェームズもね。初対面で「話を続けて、君のすべてが分かる」って、彼女が好きなことの話をたっぷり聴いてくれるの素敵すぎる。そりゃ沼るわ。しかもジェームズマカヴォイがやたらかっこいいし。
彼が少しではあるけど心を通わす医者も、気の毒というか痛々しいというか、なまじ知識と良識があるばかりに感じてしまう痛みもあると示す、重要な役割だな。彼らの行いの異常さに気付ける冷静さは持ち合わせているものの、自身が彼らから庇護を受ける立場にもあるのだろう、きっと。こういう問題は二極化して考えがちだけど、実際には彼のような行き場のない知識層は、世界中の紛争地帯にいくらでもいるのだろうな。
それにしても奴らはいったい何がしたいのか?ボッコボコにしたかと思ったら治療を受けさせたり、あちこち連れ回したり、何のため?
道を違えてしまった二人がどうなるのかとヒヤヒヤハラハラしてたら、心底びっくりよ。えーーー⁈ってなるよ。ここ最近観た中で一番、想定外の結末を迎える作品だわ。

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