ドント

貞子vs伽椰子のドントのレビュー・感想・評価

貞子vs伽椰子(2016年製作の映画)
3.9
グワーッこわかった。殴り合いバトルエンタメを期待していたら思ったより一本筋が通ったホラーでこっちが殴られたような気持ちだ。
やれ始球式だ白塗りだと、ネタとして消費され続ける貞子(リング)と伽椰子&俊雄(呪怨)を、あえて「恐怖として語り直す」ことを試みつつ最後は引っ掴んでぶん投げる、回帰と掟破りが両立した逸品。フェイクドキュメンタリーでは画期的な作品を撮りつつ劇映画では足腰の強い仕事をする白石晃士監督の面目躍如だ。
貞子/伽椰子のパートが交互に、シリーズ未見の人にもわかるように語られていくので少しばかりまどろっこしいが裏返せばとても丁寧な語り。なかなか全貌を見せない呪いのビデオ、斥候として便利に使われる俊雄くん、Jホラーと海外ホラーのちょうど真ん中くらいの温度で描かれる恐怖がグイグイと引っ張っていく。特に暗さと音響(高音の貞子、低音の伽椰子)が素敵。白石印の無慈悲な暴力や女の友情も要所で炸裂する。
そしてついに訪れる禁断の対決シーン、待ってました!とばかりに胸がときめくし期待に応える出来ながら思ったより短め。しかしその後の衝撃の展開に痺れまくる。いやぁこのおっかなさつったらないね。
ネタやバトルとして観に行くとヒヤリとさせられる本気のホラー・エンタメ風味。貞子さんと伽椰子さんを怒らせるとこうなるんだぞ!
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