ゆう

君の名は。のゆうのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.5
TOHOシネマズ限定の話ですが、シアターに入る際のギリギリのボーダーラインは上映時間15分後、というのはご存知の方もいると思います。映画が始まる前に、15分間予告を流すからです。今作を観に行ったとき、ギリギリまで後妻業の女を観ていたため、15分の遅刻。ギリギリで余裕だなと思い、シアターに入ったら、前前前世が流れている?(正しくは、夢灯篭でした。)背筋が凍りました。君の名は。に関しては、予告が10分という、異例。5分遅れで入場した私は、一番アガるオープニングの中、入場という暴挙に出てしまったんです。あの時、観ていらした観客の皆さんに深く謝罪申し上げます。

今作がこんなにも若者の心を掴んで離さないのは、何故なのか。君の名は。の年齢層はほぼ若年層であるというデータがある。若者というのは、自分なりに定義してみれば、何かを探している世代となる。自分は何の理由があってこの世に存在しているのかという疑問は、年齢に関係なく抱いた疑問だと思う。つまり、アイデンティティだ。若者から成人になり、壮年期に至っていく過程でそんな疑問はどうでもよくなり、生活を送ることに必死になる。

アイデンティティ以外にも若者は何かを探すという行為に躍起になる。探し、見つけ、思い出し、最後に一つ大切なものを探し出した主人公たちに、何かを探している若者たちは胸を打たれる。

今作を観た周囲の人に感想を聞いてみると、皆ただただ面白かったなんですね。細かいところ、好きなシーンなどは出てくるのですが、ここまで興奮、感動させる決定的な何かは皆あまり説明出来ないみたいです。そこで、この構図が今夏の熱狂を生み出している根本的な何かだと自分なりに解釈しました。という、いろいろなことを考えて、シアターを出た私の向かう先は。もちろん、チケットカウンターの列の最後尾でした。
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