マルケス

ダンケルクのマルケスのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.5
1940年5月、連合軍兵士がドイツ軍によってダンケルク海岸に追い詰められた。
約40万人の兵士を救出すべく、民間の船まで徴用したダイナモ作戦を描く。

成功したオペレーションを描いた映画としては内容も語り口も異色だった。
撤退作戦という性格上なのか勝利に沸くようなシーンは少ない。兵士たちが歓喜の声を上げるのは迎えの船が見えた時や、スピットファイアが敵機を撃墜した時くらいか。

大勢の兵士が空爆に怯えて逃げ惑い、救出船を待つ。ようやく船に乗り込んでも爆撃され、海に投げ出される。
そんな激しいシーンの連続なのだが、一方で醒めた視点も感じた。トム・ハーディが駆るスピットファイアと海の美しさに、戦争映画だと忘れそうになるくらいだった。そんな描き方も異色。

若い兵士は逃げ帰って恥だと感じるが、国民は「生きて帰っただけで十分だ」と手を振って迎える。この認識の差もまた戦争のリアルか。
30万人の兵士が生還できたのだから、作戦として大成功だったが、やはり戦争の虚しさが残った。
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