映画 聲の形のはこのネタバレレビュー・内容・結末

この映画に登場する聾唖のヒロインはトリックスターに過ぎない。核となるのは主人公の、ちょっと悪ぶっている男の子だ。ヒロインがただそこにいることだけで、その周囲は揺れ、友情は崩れ、その後の人生まで影響させてしまう。ヒロインがいなければ、幼くも懐かしく振り返られる人生をそれぞれの登場人物たちは送れただろう。その構造に気付いた、主人公の男の子のことが忘れられない女の子は、ヒロインを糾弾する。しかしヒロインに絡め取られてしまった登場人物に遮られてしまい、やがてヒロインに小さな抵抗をすることで糾弾を諦めてしまう。いわばこの映画は『ＳＦ／ボティ・スナッチャー』に近い、侵略ものの映画だ。襲ってくるのがエイリアンではなく聾唖の女の子ひとりではあるのだが。