柏エシディシ

市民ルースの柏エシディシのレビュー・感想・評価

市民ルース(1996年製作の映画)
3.5
アレクサンダー・ペインの日本未公開長編デビュー作。
グッチーズさんによる前回の限定上映の時見逃していたので、念願。ありがとう早稲田松竹さん。
デビュー作からして攻め攻めの内容。
ローラ・ダーン演じるシンナー中毒の最底辺オンナが無責任にも妊娠(しかも初めてじゃない)するが、彼女の中絶を巡って、カソリック系の中絶反対派と女性権利の擁護派を巻き込み大騒動となる。
もうローラ・ダーン史上最悪(で最高)と言っていい主人公ルースがこちらの安易な共感を拒否する様な人物造形で、所謂フェミニズム映画の定型からもハミ出す。
だからこそこちらの簡単な解釈を許さない。
妄信的なキリスト教信者に失笑しつつも、自由意志を主張しながら本人の意志を蔑ろにしがちなアクティビストたちにもチクリ。
なかなか際どいテーマ性と作劇。
後年の洗練には及ばないが、これはこれで刺激的。
道徳的には危ういところはありつつもついつい自分自身を重ねさせ、それでいながら冷静に(時に冷徹に)キャラクターを活写するアレクサンダーペイン節は本作から健在ではある。
カリスマ伝道師役でバート・レイノルズが登場。ウケるwナンか脱いでるし若い男連れてるし胡散臭さ満点。PTA「ブギーナイツ」で復活!と言われる前年の作品なんだな。
うわぁ最後どうなっちゃうんだぁ?と思っていたら、ああいう幕切れ。
やぁ〜意地悪だなぁw(嫌いじゃない
でも、コメディとして描いているけれど、これはどこにでもある現実でもあって、笑ってばかりもいられないんだよね。考えさせられる。
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