真田ピロシキ

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.0
プーチンのイカレクソ野郎が遂に戦争始めやがった!もーああいう強さを誇示したくてたまらないマッチョ野郎にはほとほとウンザリですよ。このマッチョデーモンという名前も変えようかと思っている。それで考えるとウクライナについては旧ソ連でロシアの隣国という事以外は前にドラマを見たくらいしか知らないのでちょうどネトフリにあったこのドキュメンタリーを見て状況を把握したいと思った。

予想に反して本作ではロシアへの言及はそんなになくて、親ロシア派でEU加入の約束を反故にしていたヤヌコーヴィチ大統領に対する抗議デモの描写に集中していて本作から現在のウクライナ情勢を知るのは難しい。しかしその抗議デモを取り締まろうとする政権側が投入した特殊部隊ベルクトの非道さが並外れていて、最初の方ですら鉄の警棒を使っているがまだマシな方で、次第にゴム弾、実弾と殺意を明確にしていき、カメラには死体や撃たれる瞬間が普通に捉えられる。よく無事に撮れたねと思う。途中からは受刑者を市民鎮圧用に動員するようになり、今日日フィクションですらそうそうお目にかかれそうにない悪が現実世界にいる恐ろしさ。

ウクライナは近い国とは言えないのでこういう事を恥ずかしながら知らなかったのだけど、本作に映っていた光景は遠い国の無関係な出来事にはならないように感じる。最近沖縄で警察に歯向かうデモを普通の日本人様がいつものように口汚く罵ってたように、権力の暴力に対して無頓着すぎる姿勢はいつかこういう未来を許してしまうように思えてならない。それとデモ隊に野党の政治家が協力しようとするのだが何の解決もできないと全く期待されていなくてそれも我が国そっくり。いや、普通の日本人様がレッテル貼りしてるだけで反対してるのは一部のおかしなことだけでちゃんと提案してるのも知ってるよ。でも自民以上に極右な維新と手を組もうとしたバカ立憲を見るともう私期待するのバカバカしくなりました。この政治家に対する無力感、苛立ちは他人事と感じられない。もっと虚しいのはこんな状況になっても普通の日本人様は隷従して更に弱い者を叩くことに精を出すだろうと思えることだ。日本スゴイ!

映画はヤヌコーヴィチはロシアに逃げてベルクトは解体され市民の勝利で幕を閉じるのだが、クリミア併合を始めとしたその後のロシアによる不穏なスーパーを入れられ、そして今日遂に本格的に侵略され始めたのでこの平穏な光景が哀しい。どうかこの何の意味もないバカげた戦争を誰か止めて欲しい。