ガンビー教授

エヴォリューションのガンビー教授のレビュー・感想・評価

エヴォリューション(2015年製作の映画)
4.1
同監督の『エコール』にはモヤモヤしたものを感じたものの、ようやく楽しみ方が飲み込めるようになってきたのか、これは頭の奥が痺れるほど楽しんだ。

濃密な、悪夢のような時間が流れている。上映時間は一時間半すらなく、意外と短いが、あとちょっとでも時間が長ければ耐えられなくなってしまうのではないかというくらい。長くも感じるが、決してつまらないという意味ではない。

映画が光と闇の芸術だとするなら、本作で賞賛されるべきは陰影のバランス。暗いシーンが多いのに何を見せたいのか分からないところが全くない。この巧みさに目を見張るためだけに劇場に足を運ぶ価値はあると思った。

海の気色悪さというか、死と生が混然と入り乱れている感じ、棘皮生物の生きているのか死んでいるのか判然としない薄気味悪さ、そもそも生物というシステム(そこには性というテーマも含まれる)への嫌悪感などが全編にわたり、陰鬱な湿気を保ちながらこの作品を支配している。

余談、「食べ物が気色悪い映画」は数あれど、この作品の中に出てくるひと皿の一気に食欲を失わせるデザインはすごい。吐きそうになる。
ガンビー教授

ガンビー教授