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死霊館 エンフィールド事件のrollinのレビュー・感想・評価

4.1

THE CONJURING

Episode Ⅱ
THE BRITISH EMPIRE STRIKES BACK
(死霊館2:大英帝国の逆襲)


冒頭、前作の後彼らが関わった「悪魔の棲む家」アミティヴィル事件の回想が始まり(演出自体もオマージュ)、スターウォーズのオープニングクロール暗黒版のようなテンションで見事なタイトルクレジットが浮上する。

1977年英国ミドルセックス州エンフィールド。ロンドン・コーリングは79年やないか!という野暮なツッコミは置いといて、とにかくジョー・ストラマーが呼んでいるのだ!

今回ウォーレン夫妻がおじゃまするのは、母1人で4人の子供を育てながら慎ましい生活を送るホジソン一家のお宅。故障した洗濯機、粗大◯ミのようなソファもレトロな味わいがあっておしゃれですね!

パンク勃興時のイギリスの低所得者層の暮らしを反映したかのような暗黒成分多めの照明。より大胆に、より洗練されたカメラワーク。前作ではあまり巧く機能していなかった長回しによる恐怖のスカし演出も抜群。
しかし本作でも恐怖演出の大部分を支えるのは、実写・アナログ・フィジカルな特殊効果であり、へそ曲がり男や最恐の尼っ娘××××、愛すべきモリス・グロスなど、魅力的なキャラクターも盛り沢。

ダゴバでR2に取り上げられたペンライトを「わしのじゃ!わしのじゃ!」と主張するヨーダのように執着心の強い地縛霊ビル爺。
次女ジャネットを取り巻く怪異や母親の主張を信用しないお役所や世間、そしてプロの幽霊ハンターたち。
奇しくも1977年に亡くなったエルヴィス・プレスリーのモノマネをしてお子たちを元気づけるエド。
本作の実態は、直視もはばかられるほどのウォーレン夫妻のらぶイチャハネムーンVTRであり、何があっても他者を信じ、弱った者に手を差し伸べるという明け透けな人間の善意が描かれている。でもそれがいい。

個人的に一番怖いのは、エンフィールドですらないウォーレン宅での尼っ娘出現シーンで、全体的にグレードアップしてはいるものの、前作ほどの決定的な恐怖シーンはない。むしろ本作に至っては、このどんちゃん騒ぎに身を任せ、ちぇっ、ホラーなのに何だかほっこりしちゃったなぁ‥と、はにかむあなたがシュテキだと思うよ。


スターウォーズとパンクが生まれ、エルヴィスが亡くなった年に起きた事件。年一で死霊館を作ってくんろ!!
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