Yukiko

ロープ/戦場の生命線のYukikoのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
4.4
2020年9月27日
『ロープ/戦場の生命線』  2015年スペイン制作
監督、フェルナンド・レオン・デ・アラノア。

1995年、バルカン半島。ユーゴスラビア紛争停戦直後。
ある村で井戸に死体が投げ込まれ生活用水が汚染されて
しまう。
国際援助活動家のマンブルゥ(ベニチオ・デル・トロ)達は
死体の引上げを試みるが、ロープが切れてしまう。
彼は他の仲間と共に1本のロープを探しに車で出かける。
未だ武装集団が徘徊し、地雷が埋まっている危険地帯を通る。
国連軍のキャンプで、本部から派遣されたマンブルゥの
元恋人カティヤ(オルガ・キュリレンコ)と合流。
また、途中で少年ニコラと出会い、二コラの住んでいた家に
ロープがあるということで、彼らはそこへ向かうが・・・


反戦映画かな。
こういう描き方もあるのね。静かな怒り。

銃の撃ち合いはなく、人が殺されている場面は少しぼやけて
全体は見せず、グロテスクではない。
が、停戦のはずなのに、武装集団は活動しているし、地雷を
踏むかも知れない恐怖はあるし、兵士から車は停められるし、
緊迫感は続く。

井戸の死体を引き上げるのは衛生上、当然のように見えて、
国連軍の兵士の揺るがない言い分もあり、なかなか事は
スムーズに運ばない。

少年二コラの両親はセルビア人とムスリムの夫妻と思われる。
その家族の行く末を知ると、ここにこの映画の主題がある
ようだ。

井戸で亡くなったのは、牛飼いのおばあさんのご家族だった
のねぇ・・・・

事はうまくいかない。国際支援をしているというのに。
それでも、また支援要請があると彼らは行く。

ラストの歌。 「花はどこへ行った」 

 ♪・・・いつになれば みんな分かるのだろう・・・♪

ギターソロで聴かせる。しみじみとする。


ふと、ピーター・ポール&マリーの曲を聴きたくなった。

原題「A Perfect Day」

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以下、Wikipediaより抜粋

ユーゴスラビアは建国時から各民族が入り混じって暮らし、
第二次世界大戦後に平和裏の移住や民族間の結婚が進んだ。
こうした状況下で、セルビア人やクロアチア人などが同じ
民族を集めた民族国家を形成しようとすれば、「虐殺と同化
あるいは住民の大規模な強制移住なしには不可能である」
にも関わらず、それを実行しようとしたため、深刻な人道的
危機がもたらされた。

紛争は各国・勢力間の軍事的勝敗(嵐作戦)や交渉・合意の
ほか、北大西洋条約機構(NATO)や国際連合の介入により
収束した。
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