湯林檎

シング・ストリート 未来へのうたの湯林檎のレビュー・感想・評価

4.1
Amazonプライムビデオ見放題終了にまたまた滑り込みで鑑賞(笑)
平均評価が高いのでずっと気になってたものの青春映画に若干の苦手意識がある上に80年代洋楽も詳しくない私がこの映画を観て楽しめるのか不安だった。でも実際に観てみたらそんな不安は吹き払われてエモーショルな雰囲気に包まれた柔らかい作風にすんなりとのめり込めてふと安心した。まるで1本のMVのようでとても絵になる。
アイルランド映画は多分初めて鑑賞したけど、アメリカや英国文化への憧れや台詞の随所に見えるウィットな皮肉がセンス良く描かれていて良かった。田舎の少年コナーがラフィーナに一目惚れをしてからバンドを結成し、一人前のバンドマンになるまでの成長過程は脚本だけでなく歌唱力の向上やビジュアルの洗練さにも顕著に表現されていて映像センスが良いと感じる。
ラフィーナは最初は容姿端麗だけどケバくて育ちの悪い女の子という風に見えたが映画の中盤辺りから次々と名言みたいな言葉を言うようになって関心してしまった。決して優等生タイプのキャラクターからこそとても人間味があって思わず感情移入してしまった。特に彼女のセリフの一部である"愛と悲しみは一体"(多分こんな感じ)という言葉は辛い状況下で音楽という光を纏って生き抜くコナー達を象徴しているかのように思えた。

音楽、友情、そして恋愛は人を変える。テーマ自体は非常に王道だけどテンポの良い脚本と次々と移り変わる秀逸な楽曲のお陰で見事に斬新な映画へと昇華している。
湯林檎

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