Shino

シング・ストリート 未来へのうたのShinoのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

この監督の映画やっぱ好きだな~☺️と思いながら穏やかな気持ちで観ていたのに、最後のイギリス出発を打診したときにお兄ちゃんが「よし行くぞ!」って言ってくれるシーンで怒号のように咽び泣いてしまった。

両親のせいで大学を中退させられ、ドイツに行けなかったお兄ちゃんが、「あの両親のもとで6年一人だった俺が切り開いた道を後ろからついてきただけの」弟を、それでも(自分が行きたくて仕方ないであろう)国の外へ送り出してくれるのはどんな思いだったんだろう。
たぶん無職で、薬物中毒で、ろくでなしだと後ろ指を指される自分に対して、優秀な弟が疎ましくて、でもそんな自分をロックの先生みたいに慕ってくれる弟のことが大好きなんだろうなぁ。

主人公も、時々乱暴で暴言も吐くお兄ちゃんのことを、それでも誰よりも信頼してて大好きなのがわかって、見ていていいなと思った。

「はじまりのうた」を観てからずっと観たいと思っていた作品で、観てよかったと心から思う。
この監督の音楽映画は唯一無二だと思うし、音楽を抜きにしても、人と人との、言葉にできない繊細な関係を描くのが本当に上手いと思った。

ただ、はじまりのうたに比べて、暴力シーンが結構激しくてビビった。
校長に化粧落とされるシーンが一番怖かった。

主人公が一見おとなしそうな優等生タイプに見えるのに、校長に真っ向から反抗して、いじめっ子にも物怖じしないのはかっこよかった。

いじめっ子がすぐ人を殴るのは自分が親に毎日殴られてるからなんだな、とわかって少し苦しかった。
彼がバンドの用心棒になってくれるのは想定外で、いい展開だと思った。 

憧れの女の子を想って曲を作り続け、恋が成就するという点では恋愛ものなんだけど、恋愛映画というよりは青春映画と呼びたいと思う。

舞台が80年代ということで、バックトゥザフューチャーへのオマージュがあったのは嬉しかった。
Shino

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