大不況の煽りを受けて冷え込む夫婦仲と、厳しい校則で子どもたちを支配しようとする学校。
そういった状況の中でも青年たちは無垢な夢を追いかけ、そのエネルギーこそが曇った空を突き破る。
勝手に泥沼にはまり込んだ大人たちは、その子どもたちもその中に引きずりこもうとする。
ベルトコンベアに乗った結果として泥沼に行き着いても、まだベルトコンベアが自分たちを幸福へと導いてくれると信じている。
その愚かさに気づいて抗い、さんざん傷ついてきながらベルトコンベアから降りた兄と、兄のおかげとは知らずに故障したベルトコンベアの上を歩む弟。
兄が手にした武器を弟が手にするとき、無意味なベルトコンベアは破壊され、道が拓ける。
そんな破壊するときの爽快感が、今作にはある。