さく

聖の青春のさくのレビュー・感想・評価

聖の青春(2016年製作の映画)
4.0
珍しく原作を読んだ上で鑑賞。原作との違いは、幼少期からプロ棋士になるまでの話は基本カットして、それに伴って対谷川さんではなく対羽生さんの視点がクローズアップされているところ。尺を考えると無難な感じかな。あと先崎さんが「荒崎学」という映画独自のキャラになっている。

以下ネタバレも含みます。

見どころは中盤締めくくりとも言える羽生さんと二人で飲むシーン。幼い頃からの病気に加えて膀胱がんという新たな病気も患いながら戦ってきた村山と、七冠という前人未到の記録によって、将棋界全体を背負うような形になった羽生。それぞれ常人にはわかり得ない境地で戦う天才二人。名シーンなんだけれど、ラストの羽生さんとの対局で「そのまんま再利用」する演出はちょっとベタすぎたかと…。後、これとは関係ないけれど、多分二回あった、いきなりブチって切れて一瞬暗転して次のシーンにつながるカット割りは何だったんだろう?

演技面では、松山ケンイチの役作りが素晴らしく、私ほとんど「動いている村山聖」を知らないのに「似てるわー」とか思ってしまいました。リリー・フランキーの森先生も合わせてイメージ通り。東出昌大さんの羽生さんもいい感じでした。ちょっと斜め上を見上げて考える様とか、読みが佳境に入ってきたときの困り顔とか、よく特徴を捉えていたと思います。

無駄に引き伸ばした二部作はアレだけれど、これに関しては前後編くらいで観たかったかも。

以下完全に余談。
2016年は劇場で100本観る!(旧作、再鑑賞含む)を目標に取り組んできて、本作で100本目となりました。本数をこなすことだけが目的になりつつあったので、今後は過去に観た好きな作品を再鑑賞するのとか、DVDとかNetflixなどで気になる作品を観るとか、そっちに舵を切っていこうかと思います。
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