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ジュリエッタのKSatのネタバレレビュー・内容・結末

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

あのロッシ・デ・パルマが「家政婦のおばさん」になっていることにショックを受けたが、相変わらず鼻はデカく、ピカソの絵のようだった。

正確には、「ジュリエッタ」でなく、「フリエタ」なのは周知の通りだ。

背景にルシアン・フロイドの画が飾られていたり、壁紙から時計からグラスまで一々凝っている辺り、相変わらずのアルモドバル。

確かに「オール・アバウト・マイ・マザー」や「トーク・トゥ・ハー」、「抱擁のかけら」あたりを再構築したようで、想像以上に「いつも通り」だったが、初期から見られるようなある種のキッチュさやブッ飛びはあまり見られず、ともすれば近年の是枝映画のような大人しさである。

手紙を受け取ることで再会の許しを得る主人公、妻が弱ると不倫に走ってしまう男、そして喪失。

反復される物語が語る、結局、いくら親しい家族にも秘めたるものはあるのだ、というどうしようもない内容からは、かつてのような深い人情や厚かましさは感じられず、良くも悪くも「大人な映画」になっているようである。

しかし、アルモドバルがここまで「引き算」をしている点は、注目に値する。
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