J四郎

SING/シングのJ四郎のレビュー・感想・評価

SING/シング(2016年製作の映画)
3.8
ミニオンズの製作陣が手がけたミュージカルアニメ。
監督は「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングスだけどな。

擬人化された動物たちが歌って踊る。
動物ごとのサイズ差も表現されていてそこは「ズートピア」を彷彿とさせる。カタツムリやイカなんぞも出てくるのがシュールだ。
でもノリはアメリカンってよりイギリスのコメディって感じ。
なので人によっては物足りないだろうな~とちょい思った。

マシュー・マコノヒーがコアラの声をやってる他、スカーレット・ヨハンソンやタロン・エガートンなどが声優をしている。
役によっては歌声も披露しているけど、結構皆さん上手いねぇ~。
そいや「テッド」の声もやってたセス・マクファーレンのネズ公も中々。

ストーリーは日陰者たちが夢を追い、やがて挫折を経験する。
そのどん底から這い上がるっていう内容。
映画は歌を題材にしているがそれは象徴的なもんかも。登場する誰かに自分を投影させることが出来れば入り込めるだろうねぇ。
人生で何らかの辛酸を舐めた人ほど心に染みます。こりゃ思った以上に大人向けだな。

ここに登場する人物、いや動物たちは才能を秘めてたり、夢を持っている。
しかし、周囲からはちゃんと見てもらっていない。それは親しい間柄であっても同様で、色褪せた毎日を送っている。ブタのロジータなんかあからさまやな。

主人公のコアラ、バスター・ムーンも潰れかけた劇場支配人で順風満帆な人生ではない。
劇場を盛り上げようと四苦八苦しすぎて、軽く犯罪行為をしている気もしたが。その罰が当たったのか、途中でえらい惨劇が起きてしまう。そのため全員がそれに巻き込まれる形になる。
いや、マイウェイネズミの罪が重いんだがね。

ドツボにハマったムーンの新しい仕事が笑えるちゅうか悲しい。
なんかあそこがけっこー印象に残った。どんな転職やねん。
その後、象のミーナが歌声を初披露するんだが、さすがこの役だけは本職が担当しているだけあって別格。
吹替ではこの役はMISIAがやってるんだっけ?

ラストの彼女が歌うシーンである仕掛け(事故?)が発動する。
ここで気付いたが、主人公のムーンって名前。
なるほど、日の目を見ないヤツらを照らす月明りってことか。日光のような自己主張は無いが優しく照らすような。彼のキャラクターもそんな感じだし。

ここの評価が高いのも分かる作品だが弱点もあると思った。登場人物が多すぎるため各自のエピソードの描き方がちょっと薄い。
これをまともにやったら到底時間内に収まらんがね。
しかし、それを補って余りある歌の力を借りたメッセージ性ってところか。

※この後、吹替も鑑賞しました。
これが各キャラクターに声がバッチリ合っていて素晴らしい。
ムーン役の内村をはじめ、声優でない人たちも違和感なし。
しかし、それでも一番凄かったのはネズミのマイク役の山寺宏一。
流石、七色の声を持つ希代の一流!マイクの憎たらしさが英語版以上に引き出されている。歌唱力もわざわざこの人を配役しただけに並みの本職以上。最近、その技量も当たり前に思ってたけど、改めてすげぇ人なんやなと思い知らされた。
あ、MISIAも書くまでもなく英語版と遜色ありませんぜ。
いつも字幕派だが、これって案外、吹替のほうが良いかも。
J四郎

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