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ゴッホ~最期の手紙~のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
4.1
ゴッホの絵にはただでさえ動きを感じるのに、この作品ではゴッホの絵がそのままアニメーションとなって、縦横無尽にスクリーンを動きまわる。実際、ゴッホの絵のタッチを生かした油絵が6万5000枚も描かれ、それをアニメーション化したと聞いて、内容はともかそれをひと目観たいという理由から劇場まで足を運んだ。そこで目にしたアニメーションは素晴らしい出来映えで、ゴッホの絵に登場した人物たちが動きまわり、描かれた風景もそのままに登場する。まるでゴッホの絵の中を旅しているように感じた。

物語のほうもミステリー仕立てで、主人公のアルマンが、ゴッホの友人であった父親から、ゴッホ本人が弟であるテオに書いた手紙を託され、関係者を訪ねまわりながら、ゴッホの死の真相に迫るというもの。自殺したとされるゴッホの足跡を辿ると、諸説が入り乱れ、アルマン自身の信念もぐらつき始めるのだった。

とにかく主人公アルマンはゴッホが描いた絵のなかを動きまわり、彼の死の真相に迫っていくのだが、出てくる風景はゴッホの絵で見覚えのあるものばかりであり、あえてこの手法を選んだ製作者側に拍手を送りたい。まるで絵画のなかで展開するミステリードラマだ。この手法を用いてセザンヌやピカソなどを描いてもいいかもしれない。まっ、ピカソはやや無理があるかもしれないが。とりあえずこの映像的試みは大成功だとしておきたい。本当に面白かった。
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