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ゴッホ~最期の手紙~のpikaのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
4.0
これはヤバイ。本当にヤバイ。「これはまるで動く絵画だ!」なんて言葉はグリーナウェイの映画でももう使えないんじゃないかとかなんとか言ってしまう。ここまでされたらぐうの音もでない。
1本前に見た「サーチ」同様、奇をてらったワンアイデアと言われたらそれまでな『史上初ネタ』映画ではあるけども、そんな粋を超えてる。凄すぎてアイデアがどうとか言ってられない。驚愕。マジヤバい。
場面転換が素晴らしい。アニメーションだからできる演出を見事に使いこなして昼から夜へ、今から過去へとジャンプする演出をゴッホタッチならではな演出で魅了させている。素晴らしい。
過去のモノクロシークエンスが極上。ド級の素晴らしさ。モノクロシーンだけで1ヶ月おかず抜きでもいける。嘘、無理。そんな軽口ききたくなるくらい素晴らしい。カラーも最高なんだがバッキバキにコントラストを効かせる表現主義的なモノクロが大好物なのでこの映画のモノクロシーンは全て最高。超ツボだった。めちゃくちゃかっこいい。あぁ。
アニメーターではなくまじもんの画家100人以上連れ出してゴッホタッチの油絵で長編アニメを作るってハンパない。ここまでする話なのであろうか、と序盤は心配になっちゃったけど後半はこの話だからこの演出にしたんだなぁとジワジワ伝わってくるので納得。
普通に俳優が演技したのをちゃんとロケ地で撮影して編集したのかな、そうでなければ無理だろう。光の加減や人物を追って動くカメラの凄さたるや。ゾクゾクします。
タバコを吸っているところで雨が降り出すシーンや洗面器に顔が映るシーンが最高。スーパーワンダフル。
会話シーンの退屈さが全く気にならないくらい良いシーンの魅力が凄い。面白いは面白いんだけどこれが普通に実写だったらかなり物足りない作品になるだろう。絵の魅力とアニメーションの凄さが秀で過ぎててある意味バランス悪い笑

『われわれは自分たちの絵によってでしか語れない』素晴らしい。
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