ちゃむ

ザ・コンサルタントのちゃむのレビュー・感想・評価

ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)
3.5
ただのアクション映画だと思って観始めたら、今流行り(?)の「多様性って素晴らしい!」という、SDGs的な映画でちょっとビックリしました笑

主人公は自閉症なわけですが、超一流の会計士として、或いは超一流の殺し屋として、大活躍しているわけです。彼のアシスタントも然り。これまで一般的に病気や障害としてマイナスに捉えられてきたことのプラスの側面を積極的に捉え、特性を活かしていけば、立派に活躍できるんだ!って話。よし!誰ひとり取り残さないぞ笑

理念は本当に素晴らしいと思います。私も誰もが活躍できる社会になって欲しいと心底思っています。でも、今叫ばれ推進されている「誰ひとり取り残さない」は、結局は強者の理論なのかなとも思っています。

この映画でいえば、「自閉症の人も活躍できる社会の構築」の行き着く先は、「自閉症であることはその人が社会で活躍できない理由にならない社会」です。これまでは、自分自身も、或いは社会も「自分が(あの人が)活躍できないのは、自閉症だから仕方がない」と、良くも悪くも活躍できないことに理由をつけることができた。でも、今後の社会ではそうはいかないわけです。自閉症だろうが何だろうが知ったことかと。その特性を活かして活躍しろやと。そして、自閉症の人達の中でも強者と弱者に分断される。そして強者は言うわけだ。「ちゃんとあなた達にも機会は与えてるでしょ?」と。これは弱者に配慮しているフリをしながら、結局弱者には非常に厳しい社会なのではないだろうか。

ただ一方で、能力がある者、努力をする者が報われる社会でなければ、この社会は衰退する一方なわけですから、社会のあり方というのは非常に難しいですね。ただ一つ言えるのは、「社会はこうあるべきだ」と断言出来るほど社会は簡単ではなく、そう断定的に主張する人達には要注意ってことでしょうか。
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