ちゃむ

否定と肯定のちゃむのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
4.0
根拠もなくホロコーストを否定する自称専門家とそれに根拠もなく(或いは根拠もなく根拠があると信じて)熱狂する一部の人達。

もうこのホロコースト否定も見ていてひたすら胸糞が悪いわけですが、なぜここまで胸糞悪いかというと、自称専門家があえて真実を捻じ曲げた主張をしようとする目的が何なのか、その狂信者達がそれに追随していく心理が何なのか、ということに思いを馳せると、その心の闇の深さにゾッとするからなのかなと思いました。

根底にあるのは社会に対するコンプレックス(恐怖、疎外感等)なのかなと。例えば、有色人種や女性の地位向上に感じる恐怖なんかは大きそうですよね。彼らの地位向上はイコール相対的に自分達の地位低下につながる訳ですから。それは、白人の中でもユダヤ系か否ユダヤ系なのかでも同じことなのかなと。

そういう社会に対するコンプレックスを打ち消すために、事実を捩じ曲げ→社会は自分達を騙している→今、自分達の人生がうまくいっていないのは嘘に満ちた社会のせい(陰謀論)→でも、自分達は一般大衆と違い真実に気づいている→社会に対する優越感を獲得(コンプレックスの解消)→高揚感から、より先鋭化って感じですかね。

これが1994年、30年近くも前の出来事か!と思いますね。人間の愚かさは今も昔も変わらないのかと。今まさに我々が目の当たりにしている、反コ○ナとか反ワ○チンとかと同じようなもんという印象。

このホロコースト否定は良識ある専門家が裁判を通してしっかり戦ったことで、無事に勝利して終了。やはりこういう輩とはしっかり戦っていかなくてはいけない。ただし、そもそもこういう輩が生まれるのは、社会的コンプレックスに原因があるのでは?ということを考えれば、「誰一人取り残さない」社会の構築というというのは社会的使命なのかなと。では、その最適解が今声高に叫ばれているSDGsなのか!というと、悩ましいとこですが笑
ちゃむ

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