「白鳥の湖」の舞台のプリマ(主役)を射止めた主人公が、黒鳥(悪魔)の芝居ができない葛藤と毒親やセクハラ指導者に追い詰められて次第に幻覚を見始めて崩壊していく話。
ブラックスワン、鬱映画みたいなジャンルだと思ってて暗い気持ちになりそうで観てなかった。
観てみたら精神的に重い系じゃなくてドッキリびっくりホラー映画って感じだったなー
そういうジャンル映画だと分かって観たら意外と心情描写あってヒリヒリするってなるかもしれないけど、逆のイメージだとだけど「なんだ、これ系ね」みたいになるね。
ポスターとか導入的にはそっちを期待する作りになってるんじゃないか？
まあでもそっちの方が注目されるし、正直めっちゃ鬱展開されるよりエンタメに走ってくれる方がよかった(その方がヒットもする)とも思った。
物語全体の構図が冒頭で説明される「白鳥の湖」のストーリーを象徴しているあたりが、お話として綺麗だし古典的な普遍性もあった。これは「白鳥の湖を再解釈した現代版実写化」って言えるくらい。冒頭で演出かもそう言ってたし。
そしてそれを踏まえて観ると、「白鳥の湖」はこういう話だから主人公の心情も実はこうだったんじゃないかとか考察・答え合わせできたりするのが奥行きがあって良かった。
あと終わり方の潔さね。最高潮を迎えてそのままスパッと終わる切れ味。素晴らしかった。
『レスラー』と同じ監督で、『レスラー』との2部作的な位置付けっていうのを知って納得もした。
描いているテーマは同じで、プロ選手が競技や芸術を突き詰めていくことの狂気性、そこから精神的に追い詰められていく展開みたいな。まあレスラーあんまり覚えてないけど。
ただ幻覚とかになったらなんでもありになるし、映像的にびっくりさせてくるのとか血でドキッとさせてくるのとかもうええてみたいな気持ちになるな。
自分がこのジャンルに向いてないんだなあと思う。
