TakuMori

ラストナイト・イン・ソーホーのTakuMoriのレビュー・感想・評価

4.7
服飾を学びにロンドンの学校に上京した"視える"系女子のエロイーズが、寮に嫌気がさして古い家の部屋を借りたら、寝る時に60年代にワープしてそこに住んでた歌手志望のサンディの人生を追体験していく。
そこは憧れていた煌びやかな世界だけでなく、男性優位社会によるサンディの絶望があって…。

映像のトリップ感、映画のジャンルやテーマのごちゃ混ぜ感、それを綺麗にまとめて1本のエンタメに昇華していて本当にすばらしかった。
主人公がとにかく可愛らしくてよかったなぁ。
さすがに亡霊にとらわれるシーン多すぎだろと思ったけど、亡霊のビジュアルとかも込みでシリアスなシーンなのに笑ってしまった。ホーンテッドマンションみたいな。ホラーとコメディって紙一重だよなー超常現象って見方を変えればギャグだし。
そしてことの真相もどんでん返しがあって切実で単純な勧善懲悪でもなく、現代的な映画だなぁと思った。

でもこういう過去の女性蔑視を描く映画って男性が観るとモヤモヤする部分もあるな。
そういう扱いを全体として過去にされてきた歴史があるのは事実だけど、男性全体が罪みたいになるといや俺は何もしてないしっていう…
当時も警察役の彼みたいな人もいたし。そういえばあのお爺さんだけ報われないままだな…
あんまりたかが娯楽の映画で社会的なテーマを持ち込んだり逆に観る側がそういう色眼鏡をかけてしまうのも好きじゃないけど、時代的に仕方ないか。今作くらいだったらいいんだけどね。

鏡を使った演出、60年代の美術と音楽で彩られた世界、すごかったなあ。
この監督すげえ
TakuMori

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