TakuMori

NOPE/ノープのTakuMoriのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.2
ジョーダン・ピール監督作。
最初にチンパンジーが家のような場所で暴れたような映像が流れてから物語は始まる。
馬の調教師をするOJ。父が上空から落ちてきたコインで死ぬという冒頭。最悪の奇跡。
とにかくこの映画なんかやべえって思わせる雰囲気作りと引きが凄まじい。監督の名前による効果もあるだろう。

冒頭のCM撮影?の現場で馬を連れて行くも、亡き父から急遽引き継いだ仕事がうまく行かないというシーンが、動物の撮影現場ってこんな感じなんだと変な感動があった。同時に鏡を見て馬が暴れたりカメラで動物を捕らえたり、今作のテーマに直結するシーンだったのがさすが。

ストーリーとしては牧場の空の上になんかいる→本物のUFOかもしれない→監視カメラ置いて動画に撮ればお金になるかも→色々やってみたけどちょっとこれ本気で手出しちゃあかんやつじゃ…ってなっていって、物体の正体や習性や主人公たちの戦略や色々話が進む。
あんなことになってもう一回動画撮りに行く主人公たちの気がしれない。まあ馬がいたとはいえ。

今作のメインはあの物体ではなくて、サブエピソードとしてリンクしていた遊園地の経営者とチンパンジーの話に集約されていた。
シーンとしても正直そっちの方が怖かったし。
過去作で言うとゲットアウトしか観てないけど、ジャンル映画のふりを見せて意外すぎる展開から社会問題にも切り込むのが監督のすごみなのかと思ってたから、今作はどんでん返しもそんなない(事前予告の秘匿感のみ?)しメッセージも形而上なもので自分ごととして捉えづらいというのがあったかなと思う。
「見る」という行為の暴力性って、頭では理解できるけど、それがどう問題なのかってこの映画では伝わりづらかった。動物虐待くらいにしか捉えられなさそう。
まあ「見たら食われる」の必然的な理由もないし、言いたいことのための設定って感じる部分もあるかも。
でもまあ結末気になって観ちゃったし普通に面白かった!っていうクオリティだったのはさすが。観たことない設定に構成にメッセージの切り口なので、変な映画見たなって感じだな。まさしく。
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