『アイヌモシリ』は去年のマイベストテン日本映画8位。
年が明けて再映があって、併せてこちらも上映されたので。
製作時の2015年現在の話だから第二次リベリア内戦の後のあれやこれや、ということになるんだろうな。
ゴム園での低賃金労働も、出稼ぎ先ニューヨークでも暮らしぶりも、そもそもの観光ビザでのアメリカ入国の経緯も、そして内戦時の体験も。全てが(恐らくは)故意にベールに包まれて「曖昧」に描かれる。
それを含蓄と取るか詰めの甘さと取るかで見る側の印象は随分変わる。
私は後者の立場。「言わずもがな」「そこはわかってくれよ」と言われても、「いやあ、ちょっと逃げ打ってるんじゃないの?」と突っ込みたくなる。
アメリカ映画として福永壮志さんがリベリア難民問題を映画にしたエネルギーには感心するが、対象への想い、演出への自信ということでは『アイヌモシリ』に遠く及ばないように感じた。