湯林檎

バリー・リンドンの湯林檎のレビュー・感想・評価

バリー・リンドン(1975年製作の映画)
3.6
何だかんだで初キューブリック。「2001年宇宙の旅」や「時計じかけのオレンジ」など映画史に残る傑作を残したキューブリックであるのでさぞかし素晴らしい作品なんだろうと期待して鑑賞した。

個人的に持った感想としては分かりやすい盛者必衰の物語を通して描いた18世紀の貴族の生活の映像記録のような作品だと思った。
主人公バリーの言動は野望的で突発的な部分もあるが歴史映画として重苦しい雰囲気にならないのはある意味バリーのコミカルなキャラクターのおかげだと感じた。実際にこんな人が身近にいたら嫌だけどある意味映画(原作はピカレスク小説)だからこそちょっと痛々しいキャラクターでも面白く受け止められる。

映像面に関しては本当に流石としか言いようがなく、特に映像に映る光は日光と蝋燭の灯りだけで電灯がなかった18世紀の生活様式を見事再現していたと思う。蝋燭の炎の近くで浮かび上がる白塗り化粧+つけホクロのおっさんの顔が画面に映った時は少しゾッとしたけどw

※ここから先はネガティブな意見ですので好きな人や未鑑賞の人はスルーしてください




ただ、技術面ではよく出来た作品ではあるけど自分としてはもう一度観たいとは思わなかった。コスチュームプレイ映画は好きだし、何ならマイベストムービーの中にもコスチューム物があるのでジャンルとしては比較的好きな部類に入るはず。でもやっぱり脚本的に退屈な部分があって特に好きな登場人物がいたわけでもなくキャスト陣の演技が特に良かった訳でもないので全体的に印象に残りづらいと感じた。キューブリックの本当の凄さは他の映画を観た方が分かる気がした。

因みにスコアの内訳です。

映像、演出:☆4.8
ストーリー、脚本:☆3.0
演技、キャスティング:☆3.1

平均値: 3.633…(☆3.6)
湯林檎

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