たいてぃー

美しい星のたいてぃーのレビュー・感想・評価

美しい星(2017年製作の映画)
3.8
今作の原作は三島由紀夫のSFもの。原作では「水爆」がテーマであるが本映画では、「地球温暖化」と現代的にしている。核兵器と比べるとテーマとして弱いが、気象予報士って、役柄が良かったから「地球温暖化」ってのも悪くはない。
謎なのは、佐々木蔵之介演じる黒井。水星人?太陽系以外の星から来た異星人?もしかしたら、太陽系異星人を懲らしめる地球人?よくわからなかったが、こんな難役をこなすのは流石。
あと、娘役の橋本愛、その相手役の若葉竜也のコンビもいい。金沢の海岸での覚醒シーンが美しい。撮影は、近藤龍人。「金星」って、曲もいい。
(以下は、ネタバレ含み)
重一郎と黒木の論争シーンで、黒木の「アフリカに少しで、またやり直せばいい」って発言が、ビックリ。本作は謎と言うかわかりづらい点が多いが、この論争ではそれぞれの思惑をはっきり論じている。地球は守るべき美しい星、でも地球人は守らなくてもいいのか。地球のエネルギー問題も絡めていて、かなり考えさせられた。
ネットで本作のネタを見てたら、「ウルトラセブン」が出てきた。キネ旬の監督インタビュー記事にも出ている。8話と43話とのことで、早速観てみた。
2つとも演出は実相寺昭雄。特に、8話のちゃぶ台を介してのダンとメトロン星人の会話は結構有名とのこと。侵略方法がユニークで、ラストの落ちも良く、これなら吉田監督が影響を受けるのも、納得。ウルトラマンシリーズってホント名作が多い。
ラスト近くでは、牛が登場。3.11で取り残された牛を表現したって、見解もあるが、他の意味もありそう。異星人と地球人を結びつける使者?よく分からないが、印象強さは半端ない。
そして次作は、「羊の木」。原作は未読だが、一癖も二癖もある漫画家の作品で、どう料理してくれるのだろうか。楽しみではあるが、またまた難解なとこがありそうだが・・・。