たいてぃー

茜色に焼かれるのたいてぃーのレビュー・感想・評価

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
4.0
石井監督作品。高齢者による自動車事故、コロナ禍が出てくる。石井監督のオリジナル脚本で、現下を直視する姿勢に強い熱意を感じる。やっぱり、やってくれる監督だね。
主演が尾野真千子の前情報は得ていたが、永瀬正敏も出演していた。河瀨監督作で名演してる二人。石井監督がどう扱うのか?って疑念もあったが全く不要で、素晴らしい演技。でも、この二人に匹敵する演技がケイちゃん役の片山友希。「君が世界のはじまり」でも圧倒された。本作では、悲惨でキツくてどうしようも無くて、脆そうだけど時には強くって感じを熱演。好きなシーンは、尾野真千子演じる田中良子の息子、純平との絡み。初々しいんだよね。純平役の和田庵もいい。
主人公、田中良子は、夫を自動車事故で亡くしているが、賠償への対応が尋常じゃない。その他、色んなことで「えっ何で」ってことが多い。意地とか信念とかわからんじゃないが、シングルマザーの境遇でのそれは共感しづらい。再会した幼なじみの熊木(大塚ヒロタ)とのデートでのキャッキャした姿、その後の赤服での恨みばらし行為もやっぱり理解しづらい。精神的に極限状態ってことなんだろうが。
それと悲惨な状況時に美しいピアノ曲が流れるが、癒しというより余計にきつく感じた。そして、いろんな費用がテロップされる。これも逆効果ではないかと。
色々とツッコミどころはあるが、これも監督の感情がストレートに出たと評価する。舞台挨拶での尾野真千子の涙はホントに強烈。本作は力作で間違いない。