たいてぃー

偶然と想像のたいてぃーのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
3.7
3つのオムニバス作品。1つの話が終わって余韻冷めぬまま次に行くから、スイッチ変えるのがキツい。群像劇にして、3つの作品を繋げれば良いのだが、第2話の「扉を開けたままで」が異色で、無理っぽい。この第2話だけで、一つの映画にすれば良さそうだが、尺を広げるのは作風に合わなさそう。
この「扉を開けたままで」の教授役の渋川清彦が表情を表さない。「ドライブ・マイ・カー」で見せた「濱口メソッド」ってことだろうが、あれは、稽古段階の話じゃないのか?これを突っ込んじゃうのは、相当あざとい。
でもね、渋川清彦の演技は抜群で、これをやり遂げる根性がスゴい。それと、相手役の森郁月が演じる奈緒の朗読シーンが艶かしい。これは実際に演じるより、強烈だね。
他の第1話、第3話も人物描写が流石だね。演じる役者も有名俳優はいないけど、皆んな輝いてる。特に1話の古川琴音。タクシー内での表情や、元カレとの目眩く対決やら、ラスト近くのレストランのシーンとか。脚本・演出が上手いんだよね。古川琴音は、化粧品のCMにも出てて注目株なんだね。
でも、この監督作とは、どうも波長が合わない。ドキュメンタリー風で、会話が中心で、淡々としてて、たまにグサって来るって演出が、何かね。それとも、小生の芸術的センスが無いってことなのか?
「ドライブ・マイ・カー」はアカデミー賞で外国長編映画賞獲っちゃうし、本作もベルリン映画祭で銀熊賞獲ってるし、この監督は、スゴいってことで間違いないのかな?次回作で波長が合わない件は確認するけど、合わせにいくようなことは、しないよ!