Eryyy678

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのEryyy678のレビュー・感想・評価

4.7
″運命のダイヤルが回る時、運命はどこへ向かうのか?″

まさにインディ・ジョーンズ作品の集大成という気がしました。
かなり振り切った超展開でもありますが、前作も大概超展開だったので、そこは素直に受け入れられました。

考古学アクションアドベンチャーとしての質は申し分なく、されど「考古学者」インディ・ジョーンズの、老いと人生と感情に焦点を照らした作品であったとも思います。

運命に身を委ね、そして運命に敗れていった者達。それでも運命を受け入れるべきか、そうならざるべきか?

現在が、過去の蓄積の軌跡によって形作られ、それを「歴史」というならば、「運命」というものは、変えるべきではないのかもしれません。
運命のダイヤルが回り続けるように、現在もそして回り続けるのですから。

歴史の証人になりたい。たとえ運命を変えてしまったとしても。それは考古学者、歴史学者の永遠の欲望。過去をその目に収めたならば、あらゆる歴史考証は「事実」の前に覆されるわけです。
歴史に浪漫を感じるのは、見えざる「過去」に思いを馳せるからです。人は常に、答えと真実を求めます。学者であれば、それはなおのこと。

そして「選択」の連続によって紡がれた歴史の中に「運命のダイヤル」が組み込まれた時。自らの「人生」という名の運命を通じ、インディもまた選択を迫られるわけですね。彼の気持ちもよくわかります。

さて、映画そのものは中弛みなく、二時間越えの上映時間もあっという間でした。
マッツ・ミケルセンを首魁とする悪役勢も、民間人だろうが容赦なく殺す非情さで良かったです。少数精鋭の有能な連中ってかんじで。
マッツ好きとしては、非常に贅沢な使い方がされていて満足です。彼のためにもう一回観に行ってもいいぐらい。
いわゆる「ナチス」の残党という使い古された設定なんだけど、終盤明かされるその真意を聞くと「そう言われると、まあそうだよね」って変に納得してしまう。
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