全体的に映像は暗く、そのうえ次から次へと出てくる悪い奴らの見分けがつかなく、ちょっと油断するとスクリーン上で迷子になりそうな作品。2011年11月12日、イタリアのベルルスコーニ首相が退陣表明する直前の1週間を舞台にして、ローマの地下社会で繰り広げられる悪人同士の抗争を描いたネオ・ノワール。この作品が長編第2作目となるステファノ・ソッリマ監督は、ドゥニ・ヴィルヌーブが監督した「ボーダーライン」の続編にハリウッドから指名されており、この作品でもその濃厚濃密な表現は十二分に発揮されている。
ただ地下社会の抗争が激化していくにつれ、登場人物の見分けがつかなくなる傾向があり、心して作品に向かわなければいけない。北野武監督の「アウトレージ」の惹句にあったような、まさに「全員悪人」状態なのだが、物語的にはもう少しコンパクトにまとめられるのではないかという疑問は持った。確かに迫力あるアクションに雰囲気ある映像が続くのだが……。機会があれば、再観賞してみたい。
イタリアのアカデミー賞にあたるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で5部門にノミネートされた作品で、ステファノ・ソッリマ監督がハリウッドでどんな感じで「ボーダーライン」の続編を撮るのか、いまから楽しみだ。
