さいらー

オールド・ジョイのさいらーのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.5
妻の出産を控えたマークは、旧友のカートから突然連絡があり、キャンプしながら山奥にある温泉に行こうと誘われる。

旧友との再会、久しぶりの息抜きに大自然へ向かうが…



ああ、きっとこの二人は、昔もこういう風にカートに振り回されながら楽しく過ごしてきたのだろうな…。
それでも時間の流れというものは残酷なもので、かつて共に過ごし時間も感情も共有していたはずの友達でも、長い年月を経て再会すると、決定的に何かがズレてしまっている。

「悲しみとは使い古された喜び」

劇中で発せられるこの言葉。
かつて喜びを感じ、楽しかったはずのこの行為も、使い古された今では、お互いの距離に悲しみを感じることにしかならない…。


どうしてこうなったのかはわからないまま、それでも漠然とした不安とこの現状に悲しみを感じ、そこから目を逸らすようでいて向き合おうとするカート。
漠然とした不安に目を逸らしつつ、ただかつてのように振る舞うマーク。


二人の間にある絶対に埋まらない距離、致命的に離れてしまった距離。その距離感のまま同じ車に乗り、寝食を共にし、温泉に浸かり、生活へと戻る…。

雄大な自然と心に染み入る音楽が映し出す、心の距離を描いたロードムービー。