胡散臭いエコ演説から有無を言わさぬ大自然でのオクジャとの戯れのオープニングから後半のシリアス残酷展開まで、さすがポンジュノって感じのエンタメ要素てんこ盛りぶり。そんで全てはオクジャ萌えに繋がっていて1本の映画として見てもなんの違和感もない。
物語がドライブしだすのはポンジュノお得意の跳び蹴りに一捻り加えたシーンから。企業に一撃を食らわす幕開けにふさわしい見事な跳び蹴りで、「ほえる犬は噛まない」のドアミラー破壊シーンに匹敵する跳躍だった。
この手のエコ話は偽善というかじゃあ人間死ねよって話になりそうだけどメッセージにも隙がない。
アメリカも韓国もうまくおちょくりつつのブラックジョークのキレも良い。
ただ偉そうなだけじゃなく作ってる側も含め生きてる以上は反論しにくいとこを風刺してるのが毎回上手いと思う。
あと自撮り棒の韓国人とかああいうちょっとした嫌味もじわじわくるし、どことなくかわいく見せるバランスとか絶妙。
生命というテーマはキャラクターを活かし切るポンジュノに相応しい。
アンソヒョンはもちろん、ポールダノもジェイクギレンホールも他では見れない感じだし、ブレイキングバッドのガスとウォーキングデッドのグレンの豪華共演も見所。
豚テロリスト軍団の掛け合いは全部面白いし、合作映画らしい通訳ギャグも見事。
ああいう笑えるけど本当は全く笑えない話みたいなのも本当にうまいと思う。
人間のキャラクターが活きてるからこそ終盤に映る無機質なものたちの魂も見える。
いかにも都合のいい落とし所にこそ欺瞞があるし、ただ冷笑することも許さない見事なラスト。
こんなにエンタメしてて重いものまで残してくれるんだから本当にすごい。
たぶん配信がどうとか無関係に撮ってると思うし映画館で見たかったのは正直なところ。どっか上映してくれんかな。
