Hondaカット

マンチェスター・バイ・ザ・シーのHondaカットのレビュー・感想・評価

4.1
82点。アカデミー脚本賞&主演男優賞受賞作。もっと重いトーンを想像したけど、静かな日常系映画。少しずつ浮かび上がる主人公の過去。しかし、それを話のピークにするわけではなく、微細な変化を丁寧に描いていく。

寒い地方の冬のジメッとした話で、主人公の設定や態度も暗いのに、とてもヌケがいい。気持ちのいい空気感を感じる画、ミスマッチのような音楽、キャラクターそれぞれが持つ人間味、など、色々な組み合わせで成せる技だろう。

話の流れ的には「船」を軸に置く手もあると思うけど、その選択はせず、主人公と甥の間の「見えない空気」を軸にし、明確な盛り上がりを作らない。強きも弱きも肯定して捉える眼差しは「泣ける」などと一言で片づけられる安直な感動でもない。非常に映画的で秀逸な作品だった。
Hondaカット

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