ガンビー教授

マンチェスター・バイ・ザ・シーのガンビー教授のレビュー・感想・評価

-
ものすごく悲劇的な回想シーンを描くときでさえ、あえて気が散るような、ミステイクではないかと思ってしまいそうなディテール(役者を搬送する担架がぜんぜん救急車に乗らない)を入れ込んでくるあたりにこの作品の変さがある。

上映時間のあいだ「変におかしい間合い」を描き続けている。間合いの悪さは時に取り返しのつかない悲劇をもたらす。しかし、と思えば、「クソッ車どこに停めたんだっけ」とか言いながら歩き回るシーン、絶妙な間合いで背景に海が入り込んでくるみたいな小技も効いていたり。だから微妙な間合いも生きる。

最後のほうで2人がキャッチボールじみた遊びをしつつ歩く場面。これも「キャッチボール」なのか何なのか、本気でやる気がないのか照れているのかいかにも微妙なところなのだけど、2人とも投げる/キャッチするのがまあ下手なこと。笑ってしまう。まさに、生きているというのは下手くそなキャッチボールのようでもあり……
ガンビー教授

ガンビー教授