黒川

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツの黒川のレビュー・感想・評価

3.9
マイケル・キートン目当てで観ましたが、こういう少しイラッとくる小悪党的な役が巧すぎて、大好きな俳優さんなのに毎回嫌いになりそうになる。

マクドナルド兄弟が作った画期的なレストランが如何に世界を席巻したか?という物語と思わせておいて、その実は部外者レイが如何にしてファウンダー(創設者)まで登り詰めるのかというサクセスストーリー。冒頭のアドラー心理学レコードが最後のレイのスピーチ練習シーンにつながり、彼が不要と感じた周囲を切り捨てマクドナルドを巧妙に乗っ取る姿、そしてフランチャイズを大きく逸脱するように土地を買いそれを貸すという不動産業務的なことを始める様子は遊星からの物体Xの様な侵略ものSFスリラーの様相すら呈しており、これもうホラー映画なんじゃね?めっちゃ怖い。マジでインベーダー。しかしながらそれが世の常であり、またアメリカという新しい国がどのように国家となったかという部分と似ているのもなんとも興味深い。あとレイってユダヤ系だったんですね。なるほど。

Educated Foolの様な言葉もとても印象的で、マクドナルド兄弟の野心がレイ程ではなかったがために乗っ取られる様子に心が傷んだ。しかしながら年代的にこれが最後のアメリカンドリームとも言えるように思われる。いや、アップルとかよく考えれば成功例結構あるから、むしろえげつねえアメリカンドリームの始まりなのかもしれない。

マクドナルドのフランチャイズが豚の餌のような扱いを受け、貧困層の食べ物と揶揄される今、それでも帝国は世界中へと拡がっている。そしてそれぞれの国の物価指数をも反映するものとなり得たのは偏にレイの敏腕さなのだが、果たして不動産業が実態というなんだこれやっぱ怖い。

あとどうでもいいけどキング・クリムゾンもマクドナルド兄弟が歌えるピアニスト募集してたら歌えないギタリスト(子門真人似)が来てバンド乗っ取ったよね…
黒川

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