jonajona

アルビノの木のjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

アルビノの木(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

初めて見る監督でしたが、
この映像美は見惚れるものがある。

○いいとこ
・日本の自然をすごく美しく切り取ってる。普通の街中でさえ光の按配なのかと思うけどめちゃくちゃ綺麗。

・テーマがもののけ姫的な自然対人というお話なので、映像美もとても良い役割を果たしてる。山に入ってからの神秘的な映像はとにかく遠巻きに森の中にポツンと人が分け入るシーンが多く、そこから『人が森にお邪魔してる』感が伺える。

・物語の導入部が、役所から依頼の内容をぼかされたり、そのくせやたら高額の依頼の『害虫駆除』だったりと…
何が起こるのかヒキが強い。
徐々に山に近づくとともに、依頼内容が明かされるのも惹きつけられる。

・駆除対象のアレの姿が美しい。
神々しく見えるのはそこまでの構成が見事だったからで、見つけた時のシークエンスを覚書きしておこうと思う。

→木々の間を進む主人公(アオリ)
→画面右下に主人公。木々の隙間を縫ってその先には(画面右上側には湖畔が。フカン)
→透き通る湖畔が映る。手前には紅葉して紅や緑の木々。画面右端は最手前に木の影があり遠近感を演出。
→画面右上。湖畔に静かに波紋が広がる。
→(主人公の目線から)見てる主人公へ画面が振り返る。(バストアップ)驚きつつ冷静に歩み寄る。やはり手前には主人公の顔を遮るように自然の紅葉が画面を覆う。
→側面からの絵に画面移り、湖畔と森をとらえる。手前に紅と緑。左端からそこに歪な猟銃が現れる。ゆっくりと獲物に向かい照準を定めたまま画面を横切る(バスト)
→ここで初めてアルビノ鹿が映る(画面中央)。左手前に主人公の背面が現れ猟銃を突きつけている。両者の間には湖畔が広がり沢の水の音がわずかな主人公の足音を消す。
→手が震えることに驚く主人公。
→こらえ、構え、撃鉄を下ろす。(側面)
→カチリ。音に反応してアルビノ鹿がこちらを見る(鹿のバストアップ)目が赤い
→鹿動く。(鹿の背面に画面が移り、左方向へ飛ぶ。鹿の第二関節上ショット。)
→主人公動きに合わせ撃つ(腰上)
→湖畔に倒れ飛沫を上げる鹿。首にできた大きな傷口が見える。(画面左から倒れ込み中央で頭が倒れる。背面なので顔は見えない。)
→驚いた表情で銃を下ろす主人公(側面)


・山間の閉ざされた村の暮らしぶり、
木のお茶碗がすごく可愛くて
特別感があり素敵だなと思った。

・街の成り立ちと今回の討伐イベントが関連してる雰囲気すき。

○あかーんとこ
・序盤以降、なぜか退屈。
なんでか考えてみたところ、おそらく単純にストーリーがあまりにシンプルすぎる体と思う。神秘的な感覚派を目指しすぎて、メッセージ性はあれどエンタメ性が低い。

個人的には、どうせなら中盤以降完全にファンタジーに振り切れて、それこそもののけ姫のような展開ならより楽しめた。

森の中に分け入って、いっそアレが本当に神様的な神通力を持ってるみたいな話なら見たかった。

・間の取り方が嫌い。
セリフとセリフの間に無駄な時間が長い。
セリフ、という感じもするし。

・映画にはもっと詰め込めるはず…
セリフ、展開、少ない。映画、こんなもんじゃ、ない、はず。
jonajona

jonajona