Damnationをそう訳してもいいのとか、十戒を守れず悩む男の話だから天罰じゃなくて神罰じゃないの、とか題名について思うことはあるけど、普通はフィルムノワールとして観るからこの名前がいちばん受けると踏んだのかな、とか考えたりした。
カメラの挙動はヴェンダーズなんだけど、実存について悩みまくる話だから雰囲気がぜんぜん違う。パン(に見せかけたアークショット)の先には観客がぐでーっとしながら演歌を聞いてるし、密談に合わせてトラッキングしたかと思ったら引き返して女を口説くおっさんに焦点を当たる。赤ん坊がギャンギャン泣いてる画面から横移動でおっさんの不倫に着地する奴とかけっこう悪趣味。
そのおっさんは女に説教して自殺に追い込んだエピソードの持ち主だけど、同時に酒も不倫(肉欲)もやめられないと愚痴をこぼすくらいに繊細。子どもが眩しい、自分の年齢的限界を感じさせると管を巻くあたりなんかマルメラードフを彷彿とさせる。(彼も育児放棄の当事者)
ヴィム・ヴェンダースでドストエフスキーを撮るみたいな作風で好みではあるのだけれど、所々陽気すぎてついていけなかったのが残念。8 2/1や雨に唄えばがこの主題にあっているとは思えなかった。