Kuri

淵に立つのKuriのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0
黒澤清監督の新作が間違って上映されているのではないか?と何度も思うくらいに、想像してたのと異なる作品でした。
嬉しい驚きと、堪らない胸糞悪さ。

浅野忠信さんの涅槃から見つめてるかのような視線と身のこなし、そこに漂う不穏な空気で、映画後半にはほとんど登場しないのに全編を支配していて。
そこに生じる緊張感がいつ切れてもおかしくないまま、2組の親子を飲み込んで転がっていきます。
キリスト教についての言及は物語の枝葉部分で、そこに救いを求めても救われきれない世界の無情がメインテーマなのかと感じました。

最後に彼らはどうなるのか?
8年前に娘が言い放った言葉とラストシーンが同じリズムで重なる時に、
これは素晴らしい繊細な傑作だけれど、もう見返したくない作品だなあと心底。

年末にかけて公開される多くの素晴らしい邦画作品の中で、個人的には一番完成されていてかつ、グサッときました。
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