Inagaquilala

潜入者のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

潜入者(2015年製作の映画)
4.0
今年5月に日本でも劇場公開されたのだが、油断していたらあっという間に終わってしまい観逃していた作品。すぐにこうしてタイムラグもあまりなく配信で観られるのが嬉しい。人気テレビシリーズ「ブレイキング・バッド」で一躍人気者になり、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(2015年)でアカデミー主演男優賞にもノミネートされたブライアン・クランストン主演の作品。アメリカの麻薬捜査史上でもっとも成果を上げたと言われる潜入捜査に参加したロバート・メイザーの回顧録を原作にして映像化された。ブライアン・クランストンの役はもちろん主人公の潜入捜査官。マネーロンダリングをする架空の会社の社長となって、作戦を遂行していく。

クライマックスを自身の結婚式に設定して、主人公は麻薬の犯罪集団へと食い込んでいく。ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンが共演した「スティング」(1973年)のような一種のコン・ゲーム(信用詐欺Confidence trick)作品だが、これを仕掛ける際の息詰まるサスペンスがこの作品の売りだ。マネーロンダリングの会社社長となって、麻薬王パブロ・エスコバルと接触するシーンは注意していないとスルーしてしまう恐れもあるが、なかなか洒落た演出がされている。「ナルコス」のパブロ・エスコバルだけてなく、いま公開されているトム・クルーズ主演の「バリー・シール アメリカをはめた男」のバリー・シールも登場。そういう意味でなかなかブームに敏感に反応し呈してた作品でもある。

ブライアン・クランストンは「ブレイキング・バッド」でも演じた二面性を持つ役どころを、この作品でもきっちり演じている。マネーロンダリングする富豪社長の役と家庭人の顔を持つ捜査官の役、この演じ分けは「ブレイキング・バッド」にも通じるもの。製作者側もはっきり言ってそのあたりは狙っているところなのだろう。とにかく最後まで息を継がせぬ展開。ブライアン・クランストンのファンで、「スティング」のようなコン・ゲーム作品が好きな人にはお薦めの1作だ。
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