マヒロ

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのマヒロのレビュー・感想・評価

2.5
南北戦争中、南部の寄宿学校の敷地内で負傷した北軍の兵士・マクバニー(コリン・ファレル)が見つかる。校長であるマーサ(ニコール・キッドマン)はキリスト教の教えに則り敵側の北軍であるマクバニーを保護することにするが、女性だけで共同生活を送っていた学校内に久しぶりに訪れた男性の存在に徐々に掻き乱されていく……というお話。

ドン・シーゲル監督×イーストウッド主演の『白い肌の異常な夜』のリメイクで、プロット的には殆ど変わりない。一番の違いは、主に男性目線だったリメイク前から女性目線に切り替わっているところか。『白い肌〜』が狂気的な女性達の愛憎劇だったのに対して、多少のゴチャつきはあれど登場人物はほとんど冷静で、男性から見た女性の未知の部分と、女性自身が見た姿の違いみたいなものが興味深い。

白を基調とした端正な画面作りは所々美しかったが、時代を反映させてなのか照明が異様に暗い場面が多く、特に夜の屋内になると地獄の底みたいな暗さになってしまいそこに誰がいるのか目を凝らさないと分からないレベルで難儀した。
ドロドロした部分を漂白してクセの無い作品にしているが、話はそのままなので結果的にシーゲル版の良かったところがそのまますっぽり抜け落ちてしまっただけになってしまっているような。女性目線と言えどそれが特に活かされてるわけでもなく、なんのスリルもないサスペンスを見せられてもなぁという印象。

余談だけど、シーゲル版で学校の先生であるエドウィナを演じていたエリザベス・ハートマンがエル・ファニングに似た顔立ちなので、この役を演じているのかなと思ったら、今作ではキルスティン・ダンストが演じていた。まぁ役にしては若すぎるから当たり前だが。

(2021.225)
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