曇天

ロスト・バケーションの曇天のレビュー・感想・評価

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)
3.5
今年最初のソリッドシチュエーションスリラー鑑賞。というかこのジャンルはDVDばかりで映画館で観るのが初めて。体験型映画なので劇場で観るのが最適な環境なのでしょう。実際内容はDVDで観たら飽きていたかもしれない。

本作では海の中の怖さよりも映像の美麗さに惹きつけられた。HD画質バキバキの細かい水飛沫や深い海の濃淡色、肌にくっつく砂のきめ細かさ、リゾート地のプロモーション映像のようで思わず波打ち際に走り出したくなる。林道を抜けて、サーフィンの準備にとりかかり、波を受け流して沖に出るまでの慣れた段取りを見てるだけでワクワク。夏が好きな人にはたまらん。

サーフィンが始まると少しずつ不穏さを煽っていく。怖かったのはノリの良い音楽がBGMに鳴ってるんだけど、カメラが水中に入ると急に音が遠くなる。本当に外で音楽を流しているのと同じように水中では音が聞こえなくなるという演出。示すように水上は天国、水中は地獄なのだ。あとはサーフィンしてるその高い波の中にデカイ影…。サメ本体が出てくるのは大分先なのに、知らないうちに画面上に映ってる危険の予兆に気づいてしまうつくり。やめてくれ。

サメに襲われ命辛々岩礁に上がってからが戦いの始まり。こういうソリッドシチュエーションものはとにかく狭い舞台で楽しませようとやりくりする。だから観る前もなるべく情報少ない状態で観た方がいいのに、予告でクライマックスの舞台を映してしまっているのが少しもったいない。

主人公ナンシーが意外と精神の強い女で、こちらの予想を超えて積極的に行動に移すのでかっこいい。他にも犠牲者が出るのだが、サメの習性を疑うくらいやりたい放題な点が気になった。犠牲の出方が『ザコール 緊急通報指令室』に似てる。このジャンルもアイデアじゃなくネタ勝負になってきてるのかなあ。あとはひたすらカモメがかわいい。
世のサメ映画に比べたら今回は大人しい方なのかな?わからんけど。
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