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ソニータのYOUMEのレビュー・感想・評価

ソニータ(2015年製作の映画)
4.1
これは自らに振りかかる苦難を全て覆し、自分の手で自らの運命を切り開いた少女の物語。

ソニータはイラクに逃れたアフガニスタン難民の少女。アフガニスタンには、「児童婚」という悪しき慣習がある。少女たちが、お金を見返りに裕福な男性の家に花嫁として"売られる"のだ。(信じられないことに、「80歳の老人も16歳の少女と結婚できる」という言葉があるほど。)難民であり家が貧しいソニータも例外ではなく、幼くして結婚を強要される。まだ結婚したくない、ラッパーになる夢を追いかけたい、という彼女の願いは聞き入れられない。そして更には国の法律で女性が歌うことは禁忌とされていて、ソニータがラップをすることに対して、周囲の目も厳しい。異国の地で、難民として肩身狭く、貧しく暮らす中で、自分の好きなものを続けること、夢を見ることさえ許されない。誰も、家族でさえ、応援してくれない。

こんな逆境の中、諦めずに自分の夢を追い続けることができる18歳の少女が、果たしてソニータ以外にいるだろうか。そして驚くべきことに、最後には夢を掴み取ってしまうのだ。
「諦めなければ夢は叶う」。そんな綺麗ごとのように聞こえてしまう言葉も、ソニータが言えばまぎれもない真実だ。

夢を追いかけている人、毎日が辛いと思っている人、そして全ての女性に見てもらいたい作品。
世界には私たちが暮らす状況の何千倍も苦しい状況に置かれている人たちがいて、それでもその人たちはその状況を受け入れ、或いは立ち向かって、毎日を生き抜いているということ。
鑑賞後、スッと背筋が伸びて、明日を生きる力を貰えるに違いないと思う。

と、同時に、ソニータ以外の難民の女の子たち一人ひとりにも、ソニータのようなドラマがあるんだろうなと思う。そして報われずに「児童婚」させられてしまう子がほとんどなんだろうなと思うと、胸が痛む。まずはこの事実が少しでも広まることが事態に変革をもたらす第一歩になると信じて、一人でも多くの人にこの映画を見てほしい!
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