pika

丘のpikaのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
4.0
うひょー!ラストの着地が最高に素晴らしい!!

砂漠のど真ん中にある軍刑務所にて、軽微の罪を犯したり規律に反した兵士が囚人として虐待とも言えるレベルのしごきを受け、看守は軍律を盾に見境いがなくなるほど権力を行使する、同じ国を守る兵隊であるにも関わらず閉鎖された空間の中で生じてしまう人間心理を淡々とリアリズムにダイナミックな娯楽性を含ませながらタイトに描いていてめちゃくちゃ面白い!

全編のほぼ半分まるまる使って軍刑務所にやってきたショーン・コネリーら新参一行の洗礼を描いていて、これでもか〜これでもか〜と、看守による圧力と『丘』という存在への恐怖を描き出す。
ただの人工の丘なんだけど本当に役者に登り下りをさせ、それを延々長回しで撮ってるもんだからヘトヘトになっていく過程がめちゃくちゃリアルで緊張感がハンパない!ギランギランな太陽の下、重装備で無為に登り下りする姿は見ているこちらも喉が渇いてヘトヘトになるほど凄まじい。

ボコボコにしたくなるほどめちゃクソムカつく看守長らのキャラと、理不尽過ぎる扱いに立ち向かうショーン・コネリーの均衡、同じ房にいる男たちと少しずつ芽生える仲間意識や問われる倫理観など、瞬発的な娯楽にはせずジワジワと思考を進めてくれる丁寧な構成が素晴らしい。
長回しで丘を捉えるショットや矢継ぎ早にクローズアップショットをカッティングしてきたり、房の中をグルグルカメラが回りうねったりとカメラワークが面白い上、何もない砂漠の中に佇む刑務所や見栄えのない男臭い社会を見応えたっぷりな画力で圧倒する演出も圧巻!

右肩上がりに緊迫感が増して行く中どうなるんだ!と前のめりになりカタルシスを心待ちにして迎えたラスト!これぞ傑作!と言わんばかりな余韻を残す素晴らしいエンディングだった
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