真田ピロシキ

獣道の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

獣道(2017年製作の映画)
2.5
ジャケ写の特攻服ねーちゃんにビビッと来るものがあって見てみたがファンタジーのヤンキーを眺める映画ではなかった。こりゃ良い悪い以前に好かない映画。地方都市の鬱屈表現は高いレベルと思うが、そんなもの映画でただ流されてもちーっとも楽しくねえ。笑いにするなり中指突き立てるなりの反逆をしなければ地方民的にはムカつくだけなのです。一応最後に東京には行ったがそれだけではね。映るものと言えば暴力貧困裏切りセックスばかりで気が滅入る。何かひとかけらでも美しいものを、美しくなくても良い。このクソみたいな現状を肯定しないと言う何かが欲しい。それを見出せなかった。あえて言うと暴力の連鎖から抜けられたあの番長?

冒頭に実話を基にしていると出てくるが本当だろうか。ファーゴみたいな"実話に基づく"じゃなくて?だってさあ一度少し話しただけのヤンキーが彷徨ってるのを見かけて家に連れて行き一緒に住むなんて話にリアリティがあるとは思えない。この展開、擬似家族関係を破綻させて地獄に落とす前触れなのが見え見えすぎて白けたんだよね。それで案の定だし。父親が手を出して関係が終わると予想してたのは外れたが、当たらずとも遠からずで。最後にやっと居場所を見つけられたという事なんだろうけど、あの教祖様絡みでまた壊れる気がしてならず救いが見えて来なかった。うーん失敗した。下妻物語みたいな痛快な映画だと思ってた。

追記
一晩寝かして考えてみると自分ではどうにもならない環境のせいで悪循環から抜け出せないのは『フロリダプロジェクト』のようであるし、『嫌われ松子の一生』のような要素もあるので悪い映画ではない気がする。自分にとっては笑いのない地方都市の暗部描写が致命的に無理なのだろう。ああ言うのは憎んでるくらいなので客観的に見れそうにない。