shibamike

残酷異常虐待物語 元禄女系図のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

街頭アンケート「あなたはサディストとマゾヒスト、どちらの気がおありですか?」

と、もし自分がそのやうな質問を阿佐ヶ谷駅前でされた場合、

マゾ三毛「ま、マゾヒストですっ…」

と、自分は答えるに違いない。

しかし、マゾヒストですっ、とは言うものの、別段自分は誰かから痛めつけられたいとか、なぶりものにされたいとか、妊婦のお腹に岩を叩きつけるとか、夜中に小人を鞭でビシバシにしばきまくるとか、闘牛の牛の角に燃え盛る松明をくくりつけて逃げまどう女性を角で惨殺するとか、女性を全身金粉まみれにして皮膚呼吸できなくするとか、女性を素っ裸にして荒縄で縛って逆さ吊りにして刃物で流血させたりするとか、妊婦のお腹を刀でかっさばいたりとか(妊婦多いな)、をされたいとかは微塵も思わない。
さうです。さういう映画でした。

拷問・暴力描写がなかなかにロサンゼルスハードコアパンク勢な感じで眼球が辛かった。けれど、案外面白かった。

元禄の日本が舞台で、3つの短編?からなるオムニバス形式なのであるが、とにかくどの話も女性がコテンパンに虐待されて蹂躙されて命を落とすという感じで辛め。

自分は今まで密かに小池朝雄の油っこいねっとりとした顔面が結構好きだなと思っていたけれど(口をぎゅっと結んだ時に富士山みたいな形になるのマジ最高)、本作の小池朝雄は神がかって素晴らしかった。息を吸うかのごとくに女性を殺しまくるという暴君中の暴君である荒くれ殿様を演じるのであるが、マジ暴君だった。
そして、自分は全身金粉プレイというのが拷問だったことにも驚いた。さういうプレイがあるというのはなんとなく知っていたけれど、皮膚呼吸阻止の役割だったとは知らなんだです。生涯勉強!
でも、ググってみたところ皮膚呼吸困難で人間は死んだりしないとあり、ちょっとガックリ。

壮絶な激情がほとばしる本作。エロ・エグ・エモの3点を基準に振り返りたい。振り返ればヤツがいる。織田裕二。


1つ目のお話は、純粋で美しいお姉ちゃんが悪い男に騙されて吉原に身を沈めるというもの。これは、あんまり面白くなかった。エロ:ぼちぼち、エグ:そこそこ(妊婦の腹に岩を叩きつける!)、エモ:不足、といった印象。色鮮やかな反物の迷路みたいなシーンは惹き付けられたけれど、他が今一つ盛り上がりに欠けた。まぁ、惚れた弱味みにつけこまれて…ということなのだらうけど、それにしてもねぇ~。ちなみに若かりし頃のカルーセル麻紀のパイ乙が披露されており、少し得した気がする。(しないか。堅さうだった。)


2つ目のお話から、映画にギアが入ったやうな気がした。
異常性癖を持った金持ち娘のお話。
金持ち娘のお嬢様は17歳の時に、火傷で顔がただれた奇形の男に何日も蹂躙されて以来、奇形な男にしか欲情できないやうになってしまったのであった。
劇中、お嬢様とくんずほぐれつする奇形メンズnon・noとして、小人、浮浪者、力士(力士は奇形なの?)、黒人(完全に黒人差別やよね)、といった面々が登場する。肝心のプレイ自体はわりかしオーソドックスで、お嬢様はとにかく性交渉の相手が重要なのであった。
とりあえず、お嬢様の名言として、
お嬢様「顔の整った男では燃えない。」
というのがあった。
ジャニーズ系、EXILE系、イケメン俳優諸氏にうつつを抜かしている女性諸君にこそ見てもらいたい気がした。
エロ:ぼちぼち、エグ:控えめ、エモ:少々(異常性癖持ちの悲哀)。


さぁ!そして3本目!これがおんもしろかった。小池朝雄演じるお殿様がとにかく暴君。しょっぱな、馬でパカラパカラ走って、楽しんでるかと思ったら、歩いていた善良な農民女性の首に縄をいきなりくくりつけて、馬で走りながら女性を引きずり回して、女性を死なせる。女性が死んだのを見て、高笑いする小池朝雄。
マゾ三毛「こら、大変なことがおっぱじまるでぇ…(震え)」
作品の掴みだけ派手で、結局尻窄みというのはありがちなことだけれど、本作は拷問・虐待の回転数がひたすら上がり続けるという怪作であった。

自分が一番興奮したのは、お城のお庭での闘牛惨殺遊戯のシーン。
お城のお庭で若い女性30人くらいが真っ赤な着物を着て、ヒラヒラ踊っていて小池朝雄がそれを見つめているのであるが、ふと
小池「おい」
と側近に合図を打ったところ、庭に真っ黒な闘牛の牛数頭が投入される。そして!なんと!その牛達の角には燃え盛る松明がくくりつけられており、視覚的にめちゃくちゃカッコ良かった!興奮しまくった!
けど!ここからが情け容赦ない。
牛は女性達の赤い着物に興奮して、女性に襲いかかる!お城のお庭に女性達の絶叫が響き渡り、大パニック!
そして、その混乱を見て大喜びする小池朝雄!キチげぇだ!こいつぁキチげぇだ!と自分の心拍数も跳ね上がる。
大パニックの女性達に向かって小池が叫ぶ。
小池「牛は赤いものを見ると興奮する!死にたくないヤツは着物を脱げ!裸になれ!ワハハッ!」
急いで着物を脱いで女性達はすっぽんぽんになるのだが、間に合わずに牛の一撃を食らい絶命する女性が後を立たない!
というシーンが結構手に汗握りました。牛の角に松明というルックスは本当にシビレタ。
日本テレビ「ガキの使いやあらへんで」のダウンタウンフリートークにて松ちゃんが「恐いものというのは結局足し算。爪に毒を塗った虎にカッターを持ったヤクザが乗っているのが、一番恐い」みたいなことを言っていたと記憶しているが、本作のバーニングモウモウはまさしく恐怖の足し算だった。カッコ良かったぁあ。

そいで、その後も全身金粉プレイで女性を皮膚呼吸困難にさせるというのがあったり(全身金粉まみれの女性は鏡張りの部屋に閉じ込められて人間万華鏡となる!映像センスぱねえ!)、最終的に近親相姦がクライマックス。もう何が何だか。
父と娘の間にできた子どもは、人間の子どもなのか、畜生の子どもなのか、とギャーギャーもめて、自然分娩を待たずに妊婦の腹を刀で割く。気が遠くなりさうだった。
ラストの大火事も超豪華で、俳優陣熱かったでせう。あっぱれ!
エロ:良し?、エグ:やり過ぎ、エモ:わりかし良し。

マゾ三毛 心の一句
「言葉責め ぐらいが僕は 好きですね」
(季語:責め→辛い→霜焼け→冬)
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