チョマサ

パーソナル・ショッパーのチョマサのレビュー・感想・評価

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)
5.0
「見えざるもの」に導かれて:『パーソナル・ショッパー』オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー
https://i-d.vice.com/jp/article/mbgy3p/film-interview-to-olivier-assayas-about-personal-shopper

映画『パーソナル・ショッパー』が描いた、テキストメッセージに潜む「恐怖」
https://wired.jp/2017/05/12/personal-shopper-review/

『パーソナル・ショッパー』オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー「映画の本当の観客は若者だ」
http://realsound.jp/movie/2017/05/post-5044.html

サスペンスものと思ってたから、冒頭の赤くて細い文字のタイトルや会話で幽霊ものと分かった時にはビックリした。この赤い字が『エクソシスト』っぽいと思ったんだけど、確認したらフォントは似てなかった。

この映画はいったいどんな話なのか、分かりづらいのはSMSの話し相手が誰か不明なのと、329号室の出来事をカットしてるから。そのあとにインゴが出てきたり幽霊が歩くような場面が出てくるから、錯覚もしてしまう。パンフレットでも青山真治監督と樋口泰人さんが対談で議論しているんだけど、329号室でモウリーンが誰と会っていたのか、コップを落としたのは誰なのか分からない。たぶん映画内では幽霊らしき物体が映されてるから、ぜんぶ幽霊だと思うんだけど、SMSで呼び出したのはインゴだと思う。あと死んだ兄にどんな感情を抱いていたかが、すごくカギになると思う。SMSの相手を兄と思い込んでいる可能性もあるから、そうなら自慰の場面にも別の意味が出てくる。
そしてEDのAnna von Hausswolff - Track of Time て曲の歌詞を見ると、この映画はモウリーンの人生をやりなおすドラマをサスペンスとホラーを経由して描いているのかもしれない。

答えはないんだろうけど、いろいろなことを考えられる映画で、いつかもっと監督の考えとか読んでみたい。

幽霊ものと、見えない相手とのサスペンス、それと女性が幽霊によって自分の人生を立ち直らせてもらう、そんな話をうまい具合に混ぜてる。
最後のテーブルターニングで、幽霊が兄じゃないことにYESという場面は、今まで幽霊とはいっても他人が干渉していたということだから、これはこれでとても怖いと思う。思ったよりも画期的な映画なんじゃないかと思う。

アクトレスもカッコいいんだけど、この映画はそれをさらに上回ってたと思う。冒頭の幽霊屋敷のシーンは撮影から編集まで、独特のグル―ヴ感があって最高だった。これを撮ってるのがヨリック・ル・ソーという人で、アサイヤス監督とは『アクトレス』『カルロス』、そしてジム・ジャームッシュと『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ 』を撮っている!
アクトレスを好きになったのは、ヨリック・ル・ソーの撮影がハマったからだとおもう。この人の映画は追いかけた方がいいかも。

クリステン・スチュワートの演技は、キャラから何までとにかくカッコいい。このモウリーンは必見。

よくわからない所もあるけど、それが狙いなのかとも思う。とにかくカッコいい映画と思う。ここまでスマホとパソコンを自然に撮っている映画はないと思う。
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