Sachika

わたしは、ダニエル・ブレイクのSachikaのレビュー・感想・評価

3.9
ダニエル・ブレイクは病気のせいで医者に働くことを止められた。
そのため、保証制度の活用と保険の需給が必要不可欠だったが、対応する役所の人たちは冷たい。
法律、規則、決まり、言葉を変えて受給者たちにいう、「守れないなら処罰されます」
ネットの使い方もわからない老人のブレイクは、インターネットでの申請もわからず、役所の人間に反論すれば、一蹴される。
そして別の制度へ、別の制度へとたらいまわし。

ある日ブレイクが役所の担当者ともめていると、親子連れが別の担当者と口論しているのが目に入り、助け舟を出す。
その親子も少し遅刻をしただけで、「決まり」を理由に門前払いを食らっていた。
それからブレイクは親子とともに過ごすことが多くなり、お互い支えあって過ごすように。

しかし貧困は待ってはくれない。
お腹を空かし、仕事に困り、生活必需品が買えなくても、制度は変わらない。

耐えかねたブレイクは声を上げた。
" I, Daniel Blake(私は、ダニエル・ブレイクだ) "
彼は1人の人間として、住民として、誇りを持ってこの町で生きているし、番号で呼ばれたり、言葉のわからない動物のように扱われるためにここにいるわけではない。


この町では住民達は困ってるブレイクにも優しくて、あたたかくて、助け合える人が多い。
みんな優しい。だからこそ、役所やルールを唱える社会の人々がすごく冷たいように見える。
彼らもそれが仕事で、みんなに平等に対応してはいるのだろうけどね。
これはイギリスのこの町だけの問題でなく、日本でも十分に起こりうるし、起こっていることだと思う。

かといって、何ができるのだろうか。
何も変わらないのが現実。
でもこのブレイクの訴えが、誰かの胸に響けばいいなと思う。
そんな強いメッセージ性のある映画。

終わり方は予想通りと思いつつ、やっぱりさみしいし、何かしらの訴えが通り、ブレイクには幸せに暮らしてほしかった。
Sachika

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