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ラビング 愛という名前のふたりのkissenger800のレビュー・感想・評価

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物語を摂取したいだけで映画は二の次。と主張するマンにとって、こういう「話の骨格が分かっている史実」系は向き合い方が面倒なんですよ。本能寺の変をいまさら映画化されても、みたいな。

なのでアマプラ無料期間終わるよ。って言われるまで放置していたわけですが、視聴前には一切気にしていなかったトリビアとして記憶しておきたいのは主人公たちの宗教観がていねいに全カットだった点、です。
裁判の相手方たるヴァージニア州は「神は異人種間の婚姻を認めない」とカジュアルに言及する一方、夫妻の拠って立つどこにも居ないんですよね、どんな種類の神も。
奥さんのミルドレッド、アフリカンアメリカンよりむしろネイティブアメリカンの血脈を強く意識していたということで、それはそれなりの「ふーん」という感想を生みはするものの-孤絶したときひとが頼り得る最も簡易な手段じゃないですか、信仰って。その対象が既存の教えではなく、じゃあ何だったんすか。という解がぜんぜん差し出されない面白さ。

こういう「自分の目で見ないと分からないこと」があるから知ったかぶりコワいね。本能寺の変もライブで俺に見せてくれ。

なお本件、人種の話とだけ思うのはもちろん大間違いで、LGBTQ+への差別視線も同じロジックでアウトなことを示してるよ、とか「むかしのアメリカの話」じゃないよ今の日本に似た構図いっぱいあるだろ、とかもうちょっと丁寧な説明がセットで用意されないとダメかもねえ。
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