Ryu

ラビング 愛という名前のふたりのRyuのレビュー・感想・評価

3.8
異人種間の結婚が法律で禁止されていた1950年代のバージニア州。愛を貫くために戦った白人男性と黒人女性の実話をもとにした作品。オスカー俳優のコリン・ファースがこの実話に感銘を受けて映画化を熱望し、自身もプロデューサーとして名乗りをあげた。

そこまで大昔じゃない時代にまだこんな法律があったことに驚きました。ただ愛しているだけ。人間に与えられた権利を人種が違うというだけで奪われる。これを罪としていたということは、政府や警察は正義のもとに2人を引き離そうとしていた とでも言うのでしょうか。州政府の主張も「神様の意思に反してるから」ってホントに呆れてしまいます。
今作では夫妻が異人種間の結婚の権利を勝ち取った裁判が描かれているのですが、裁判シーンはほとんどない。さらに2人が時にはぶつかり合ったり、時には気持ちが燃え上がったり なんてこともほとんどなくて、ただ夫婦及び家族の日常が写されているだけです。この淡々とした作風が2人の愛の強さを物語っているように感じました。描かれる日常は決して楽しいものではなく、とても生きづらそうです。ただ普通に愛する人と過ごしたいだけなのに、何故こんな思いをしなければならないのでしょう。夫人のセリフでもあったように、敵もいるが味方もいることが救われる要素になっていました。
2人が苦労があったからこそなのは当然ですが、人権協会の弁護士もよくやった!って思いました。ほぼ負けるだろうって裁判に、注目されるためも多少はあったと思いますが、ここまで夫婦に寄り添い戦ってくれるなんて。異人種間の結婚が認められたのはラビング夫妻だけでなく、彼らの功績でもあると思いました。
多くを語るようなタイプの映画ではありませんが、2人の愛の強さには感動を覚えますし、その愛が法律をも変えた事実を知れたという点で本当に観て良かったと思える作品でした。
Ryu

Ryu