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トイレットのRyuのレビュー・感想・評価

トイレット(2010年製作の映画)
3.7
母を亡くしたレイはパニック障害で引きこもりの兄 モーリーと小生意気な妹 リサ、そして母が日本から連れてきた“ばーちゃん”と母が遺した家で暮らすことになる。レイは兄妹ともそんなに仲良くなく、ばーちゃんともほぼ初対面で、さらに英語が通じないため、まともにコミュニケーションがとれない。そんなばーちゃんは、毎朝トイレから出てくると、何故か深いため息をつくのであった。

日本映画にはなりますが、全編海外ロケで、セリフも全部英語。
荻上直子の作品を鑑賞するのは本作で2作目になりますが、この緩い雰囲気がなんとも言えない魅力があります。
英語を話せないばーちゃん。もたいまさこは劇中でセリフを発するのは1箇所だけで、たった2語のみ。終始黙っているのですが、存在感がものすごかったです。貫禄と優しい雰囲気が両立していたように感じました。
ばーちゃんの温かみに触れ、兄妹の心も次第に溶けていきます。こうして家族になっていくんですね。ちょっとめんどくさいところもあるけど、温かみを感じるってのが家族ってもんなんですかね。心の繋がりは、血の繋がりを凌駕するんだと思いました。
タイトルの「トイレット」ってのもイイですねー。なんでトイレ?って思いながら観てましたが、絶妙なところ攻めるなぁ って思いました。ラストのオチもかなり好き。納得のタイトルだと思います。
特に大きな動きがない日常を、緩く、温かく、楽しく魅せる。この雰囲気に非常に心地良さを感じる作品でした。荻上直子監督の作風は、恐らく自分に合うと思うので、さらに色々開拓していきたいと思いました。
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